「首が痛い」「肩が凝る」
といった症状を持つ患者さんは数多くいます。
ほとんどの方は姿勢の影響による慢性的な疲労によって出現する症状なのですが
中には外傷などをきっかけに頸部に症状が出始めたなんて方もいます。
そして、頸部の外傷で最も多いのが交通事故によるむち打ち損傷ですね。
私は10年間、外来の整形外科クリニックで働いていたので
交通事故の患者さんが毎日何人も新規で来院していました。
それくらい多くの交通事故の患者様のむち打ちを診てきたので
むち打ち治療のポイントを少しお話しします。
【エポックコラム】在宅でもよく見るむち打ち損傷とは
むち打ちとは正式名称は「頚椎捻挫」と言います。
交通事故の衝撃によって頭頸部が前後左右に振られることによって
頭頸部の各組織が損傷するという障害です。
酷い人であると神経を損傷した神経症状が出現するのですが
症状のほとんどは筋・筋膜の損傷ですので
損傷されやすい筋肉をご紹介します
むち打ちの罹患筋はこちらも参考になります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/41/8/41_KJ00009647393/_pdf/-char/ja
複雑な痛みと自律神経症状 胸鎖乳突筋
色々な本を読んでいてもむち打ちで最も損傷される筋肉として紹介されるのは
胸鎖乳突筋ですね。
胸鎖乳突筋を痛めても頸部に痛みを起こすということはあまりないのですが
頭痛や顔面痛、特に目の奥の痛みという特徴的な症状を引き起こします。
また胸鎖乳突筋は副神経という迷走神経から枝分かれした神経に支配されているので
自律神経の不調を招いて
めまいや吐き気などを引き起こすこともありますし
耳鳴りや難聴を引き起こすこともあります。
まるで神経損傷のような痛み 斜角筋
斜角筋もよく損傷されます。
特に横方向の衝撃で損傷されることが多いですね。
斜角筋が損傷されると上肢に痛みを出しやすくなります。
上肢全体という人もいれば、上腕だけ、前腕だけ、指だけ、と様々な方がいます。
上肢の症状が出るので、事故によって神経を損傷したのではないかと考えられてしまいますが、
斜角筋自体が上肢痛を引き起こす原因になり得ます。
また上肢以外にも肩甲骨の内側や胸に痛みを出す人も多いですね。
上を向くことができない 頸長筋
少しマニアックな筋肉ですので、触ったことがないという理学療法士や作業療法士の方も多いと思います。
しかし、実はむち打ち損傷では頸長筋が最も損傷されます。
頸長筋が損傷されてもそれ自体が頸部痛を引き起こすということはありませんが
下位頚椎の屈筋である頸長筋は損傷されて硬くなると頸部の伸展ができなくなります。
「上を向くことができない」
という方は頸長筋にアプローチしてあげると劇的に痛みや可動域が改善しますので
ぜひ試していただきたい筋肉です。
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他にも頸部の筋肉がありますが、
ぜひアプローチして欲しい筋肉としては今回紹介した３つの筋肉です。
ただし、交通事故の患者様の難しいところは
事故の怒りやショックで痛みがおさまらないという人も多いですし
中には損害賠償金目当てで治っているのに痛みを訴えるという方も残念ながらいますので
見極めが難しいところもありますが
本当に筋損傷による痛みであれば、かなりの確率で劇的な改善が見込めます。
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