医療職種において、より専門的な分野に進み、特定の分野の知識を持ったプロがいます。
医師においては「○○専門医」
看護師は「○○認定看護師」「○○専門看護師」
理学療法士は「○○認定理学療法士」「○○専門理学療法士」
と呼ばれています。
その中でも地域・在宅分野の知識を深く持った看護師・セラピストが
「訪問看護認定看護師」「在宅ケア認定看護師」「地域看護専門看護師」「在宅看護専門看護師」
「地域理学療法認定理学療法士」「生活環境支援理学療法専門理学療法士」
「訪問専門作業療法士」
です。
なぜ認定制度ができたの?
看護師の増加率は年約6%。6万人ずつ増えていることになります。
理学療法士国家試験の合格者数は増加の一途をたどっており、ついに1万人の大台を超えました。
作業療法士も同様に、養成校の定員増加に合わせて増加していっています。
これにより、看護師・セラピストの中でも差別化を図る必要性が出てきました。
より専門性を高めていくようになったのです。
職種によっては、認知度は高いとは言えないものもありますが、
この資格を重視する職場も増えてきており、
転職やキャリアアップのために目指す人も増えてきています。
訪問看護師は認定看護師・専門看護師を目指す
認定看護師は、特定の看護分野における熟練した看護技術及び知識を用いて、あらゆる場で看護を必要とする対象に、水準の高い看護実践のできる認定看護師を社会に送り出すことにより、看護ケアの広がりと質の向上を図ることを目的としています。
専門看護師制度は、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた専門看護師を社会に送り出すことにより、保健医療福祉の発展に貢献し併せて看護学の向上をはかることを目的としています。
(日本看護協会HPより抜粋)
認定看護師の分野数は、
感染管理、がん放射線療法看護、がん薬物療法看護、緩和ケア、クリティカルケア、呼吸器疾患看護、在宅ケア、手術看護、小児プライマリケア、新生児集中ケア、心不全看護、腎不全看護、生殖看護、摂食嚥下障害看護、糖尿病看護、乳がん看護、認知症看護、脳卒中看護、皮膚・排泄ケア、
の19分野です。(2020年度からの新しい分野)
専門看護師の分野数は、
がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性・重症患者看護、感染症看護、家族支援、在宅看護、遺伝看護、災害看護
の13分野です。
一定期間以上の実務経験と、専門看護師の場合は大学院修士課程の修了、認定看護師の場合は特定の研修を受けることが条件となります。
在宅分野、例えば訪問看護や訪問診療等で活かしたいと思うなら、
在宅ケア認定看護師や在宅看護専門看護師が一般的です。
併せて糖尿病看護認定看護師や認知症看護認定看護師、家族支援専門看護師などもおすすめです。
訪問理学療法士の場合は認定理学療法士・専門理学療法士
日本理学療法士協会指定の新人教育プログラムを修了後に取得できるようになります。
どちらも規定の研修等を受けてポイントを集めていく必要があります。
認定理学療法士はこれに加えて事例報告、専門理学療法士は論文発表が必要となります。
認定理学療法士・専門理学療法士ともに、
基礎理学療法、神経理学療法、運動器理学療法、内部障害理学療法、生活環境支援理学療法、物理療法、教育・管理理学療法
の7分野の中から選択します。
訪問セラピストが目指すのであれば、生活環境支援理学療法認定(専門)理学療法士になります。
もちろん運動器は内部理学療法など他の分野を取得しても、在宅の現場では活きる部分がたくさんあります。
理学療法士協会においては、「地域包括ケアシステム」を推進するにあたり、
「地域ケア会議」「介護予防」の2点から地域包括ケアシステムに関わることのできる人材を育成することを目指して
地域ケア会議推進リーダーと介護予防推進リーダーという2つの資格を取得することもできます。
作業療法士なら専門作業療法士を取って差をつける
専門作業療法士制度は、認定作業療法士である者のうち、特定の専門作業療法分野において「高度かつ専門的な作業療法実践能力」を有する者を専門作業療法士として認定することとしています。
(日本作業療法士協会HPより引用:https://www.jaot.or.jp/continuing_education/senmonot-seido/)
※認定作業療法士の資格もありますが、教育・管理部門へ特化したものになります。
専門作業療法士は、
福祉用具、認知症、手外科、特別支援教育、高次脳機能障害、精神科急性期、摂食嚥下、訪問、がん
の9分野に分かれています。
認定資格取得はあなたのためでもあり利用者様のためでもある
看護・理学療法・作業療法、どれにおいても
認定資格とは、高い専門性と技術を持った医療者であることの証明です。
高い専門性を持っていると言うことは、患者様にそれだけ高度な医療を提供できるということになります。
資格取得とは、
時に自己満足の形で終わってしまうことも多いですが、
引いては患者様・利用者様のためでもあると言うことです。
もちろん自分自身のプラスにもなります。
昇進のプラス要素にもなりますし、院内でも一目置かれる存在になれる可能性もあります。
理学療法士の場合だと、
生涯学習ポイントが必要な協会主催の研修会の講師になるには、
認定・専門理学療法士の資格が必須になります。
講師ついてのキャリアアップを目指すうえでも必要ということですね。
医療職としての自分自身と、患者様・利用者様、双方にメリットがあるものと言えますね。
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