コラム

脱水症状と心不全の関係は?水分摂取の注意点

2022年4月12日

血圧の薬を飲んでいるはずなのに血圧が下がらない

そんな患者様、多くありませんか?

 

それ、もしかしたら脱水症状かもしれませんよ。

 

脱水で心臓への負担が増える

水をしっかりと飲むということが健康にとって非常に重要なことはご存知ですよね?

 

1日の水分摂取量としては、女性で1.6〜2.1L、男性で2〜3Lの摂取が推奨されています。

しかし、みなさんはそれだけの水分を飲めていますか?

多分、ほとんどの人が飲めてないのではないでしょうか?

 

特に高齢の患者様ですと、

口渇中枢が働きにくくなるため喉の渇きに気づきにくかったり、

頻尿や尿漏れなどを気にして余計に水分を取らない

という方も多いと思います。

 

では、水分が少ないとどのようなことが起こるのでしょうか?

 

水分摂取が少ないと血液中のナトリウム濃度が高くなる

「高ナトリウム血症」

になります。

高ナトリウム血症になると

  • 口渇(高齢者は口渇中枢が低下するため感じにくい)
  • 痙攣
  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 倦怠感
  • 意識障害

といった症状が起こります。

 

さらに身体の中にナトリウムの量が多くなると、

血圧が上がり血管や心臓に負担がかかるというわけですね。

 

『実際に中年期の血中ナトリウム濃度が142mmol/Lを超えると

70歳以上での心不全と、その前兆となる左寝室肥大の両方のリスクが高くなる』

ということも明らかになっています。

 

そして、血中ナトリウム濃度が1mmol/L高くなるごとに、

心不全のリスクは1.11倍、左心室肥大のリスクは1.2倍高くなることもわかっています。

 

というわけで、

将来の心不全のリスクを減らすのであれば

若いうちから十分な水分摂取が必要ということですね。

 

重度の心不全患者と腎機能障害では過度な水分摂取はNG

とはいっても、これは予防の話。

全員ではありませんが、心不全の患者様の中には水分制限が必要な方もいます

すでに重度の心不全になっている場合は、

弱った心臓で大量の血液を送らなくてはならずに心臓に負担がかかります。

また腎機能が低下していても、

体内の水分量の調節がうまくいかず血液量が増え、

やはり心臓に負担がかかってしまうので

こういった方には過剰な水分を摂取させてはいけません。

 

脱水と心不全についてまとめ | エポック訪問看護ステーション

いかがでしたでしょうか?

水分をしっかりと摂取するだけで心疾患を予防することができるなんて簡単ですよね。

ただし、142mmol/Lという血清ナトリウム濃度は正常範囲内であるということや

心不全や腎機能障害をすでにお持ちの患者様は状態によっては

体内の過剰な水分が有害になることもあるため十分な注意は必要です。

 

リスクをしっかり把握した上で適切な指導をしたいですね。

 

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