「便は健康のパロメータ」
そんな言葉を聞いたことはありませんでしょうか?
「排便」は私たちが一生付き合っていくものです。
排便の不調が、介護負担を増大させる大きな要因にもなっており、
排便コントロールは訪問看護にとってとても重要な役割の一つです。
排便の不調には「下痢」と「便秘」の両方があります
排便は、出すぎも出なさすぎもいけません。
ちょうど良いタイミングでちょうどよい硬さの便がちょうどよい量出ることが、
排便リズムが整っている、と言える状態です。
便秘の場合、
- 排便時痛
- 腹痛
- 食欲不振
- 肛門出血
下痢の場合、
- 排便時痛
- 肛門周囲にスキントラブル
- 褥瘡リスクの悪化
- おむつ交換が頻回となり介護負担が増大する
などの二次的なトラブルも頻発します。
排便トラブルの原因
排便トラブルの原因は、
食事内容・疾患・薬の副作用・運動量の低下・ストレス・生活リズム
など、多岐に渡ります。
例えば、
便意を感じても自らの力でトイレに移動できず、適切なタイミングで排便ができなかったり、
十分な腹圧がかけられないことで便をしっかり排出することができないことがあります。
認知機能の問題により、便意を認識できなくなる場合もあります。
経管栄養は排便コントロールと切っても切り離せません。
胃ろうなどの経管栄養の場合、排便トラブルが頻発します。
初期の頃は、食形態上軟便となりやすく、
腸規定に胃ろうをしていると胃や腸の動きが低下するため、下痢や便秘になりやすい傾向にあります。
特に腸ろう(腸にチューブをつなぐ方法)は、下痢になりやすいと言われています。
在宅でも、胃ろうなどをつけて生活している方はたくさんおられます。
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その方に合わせて、適切なケアをしなくてはいけません。
訪問看護の現場で行う排便コントロールの方法
排便ケアにおいては、便秘の種類を適切に見極め、病態に適した排便ケアを行うこと重要です。
しかし、
特に、訪問看護では毎日 24 時間の排便をモニタリング できるわけではないため、療養者や家族からの報告と、その場のフィジカルアセスメ ントでは十分なアセスメントができない。そのため、「③病態に沿ったケア」がされず、 療養者は、直腸に便が貯留にしていないにもかかわらず摘便を受けたり、刺激性下剤 の過剰投与による下痢や便失禁を経験するといった現状が起きている。
(「在宅療養高齢者に対する便秘の病態に沿った排便ケアの実践戦略の確立-訪問看護師の実態とジレンマの解析に基づく提案-」)
とあるように、排便管理の難しさは身に染みて感じるところでもあります。
食事療法
排便ケアの基本は、食事です。
食事と排便にはとても深い関係があります。
食事をとらなければ便通はよくならないし、
すっきり出せなければ食事も摂れなくなる場合もあります。
「便が全然でない!」
と仰る方の中には食事量がきちんと摂れていない場合も多くあります。
特に、食物繊維の多い食事と水分を十分に摂るようにしましょう。
脂質を摂ること、乳製品などもおすすめです。
経管栄養の場合は、栄養剤の変更を検討したり、液状の食物繊維を導入することもあります。
逆に、便が出るのが嫌だからと食事を減らされているパターンもあります。
排便の重要性について説明し、
排便のストレスを減らせるような環境つくりも大切です。
薬による調整
整腸剤・下剤・座薬など、
状態に合わせ様々な種類の薬の中から適したものを選んで処方してもらう必要があります。
おもな薬剤として、
①浸透圧性下剤(マグミット、酸化マグネシウム等)
便を軟化させる。
②刺激性下剤(プルゼニド(センノシド)、アローゼ ン、ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)等)
腸蠕動を促す。(※長期間投与すると習慣性となるため、連用を避ける)
③水分分泌下剤(ルビプロストン(アミティーザ)、リナクロチド(リンゼス)等)
腸管内への水分分泌を増加させる。
などがあります。
浣腸・摘便
有名なところでいうと、新レシカルボン坐剤、グリセリン浣腸などは聞いたことがあるのではないでしょうか?
20分程度で効果がみられ、即効性のある方法です。
訪問看護では、浣腸~便の処置までを訪問時間内に設定していることが多いです。
腸に刺激を与えることで腸煽動を亢進させたり、
便を軟化、湿潤化することで便と腸の滑りを良くし便の排泄を促します。
浣腸でも排便できない場合は摘便を行います。
基本的には、何らかの理由で腹圧がかけられない、脊損や直腸機能障害で自然排便ができない方に適用されます。
便が硬くなり排泄ができない、宿便が溜まっているといったケースでよく実施されます。
マッサージ・リハビリ・運動
薬に頼らず、お通じをよくしていく工夫も大切です。
腸のぜん動運動を促すために、
ホットパックをしたり、
マッサージをして外側から刺激をしてあげたりもします。
また、運動量が少なくても腸の機能は低下します。
普段体を動かしていると、体をひねったり、お腹に力を入れたりすることでも腸は刺激され、排便を促しています。
リハビリで運動をすることで、腸を刺激して自然な排便を促すことにもつながります。
運動機会を作り、その後も運動を続けていけるような関わりも大切です。
排便に関するトラブルを防ぐにはいろいろな方法があります
・環境
排便にまつわるトラブルは、便そのものの困りごとだけではありません。
トイレ動作ができない、介助量が多かったりする場合、
トイレ行くことそのものが負担になったり、億劫になり、
遠慮してしまうこともあります。
楽に、安全に、排泄ができる環境を看護師とセラピスト、ご本人・ご家族が相談して決めていくことが大切です。
・便失禁時の対応指導
毎日生活していれば、もちろん失敗することもあります。
そのような時に焦らずご家族が対応できるように、
処理の方法をお伝えしたり一緒に練習したりすることもあります。
不安なことがあれば、
お気軽に訪問看護ステーションにご相談ください。
より詳しく排便ケアを行うために、「排便ケア質指標」というものもあります。
http://plaza.umin.ac.jp/houmonkango/data/list050.pdf
(訪問看護師応援サイトHPより引用)
こう見ると、排便ひとつをとっても本当にたくさんのことを評価しなくてはならないことがわかります。
参考にしてみてくださいね。
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