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【エポック伊丹がお教えする訪問看護の基礎知識】在宅でできる褥瘡を防ぐコツ

2020年9月29日

褥瘡・床ずれという言葉は、どこか病院の中の言葉のように思ってはいませんか?

 

2016年の日本褥瘡学会の調査によると、

一般病院の褥瘡有病率は2.46%、褥瘡発生率は1.20%

訪問看護ステーションの褥瘡有病率は1.93%、褥瘡発生率は0.91%

と、多くはないものの在宅でも褥瘡を持っている人がいることがわかります。

 

病院では医療スタッフにより24時間のケアをしてもらえますが、

在宅はそうではありません。

家族による介護の時間、時には独りで過ごす時間も多くあり、

十分な褥瘡対策ができない場合や、リスクに気付かず褥瘡を作ってしまう場合もあります。

 

では、褥瘡(床ずれ)を作らないようにするにはどうすればいいのでしょうか?

病院と在宅で違いはあるのでしょうか?

 

訪問看護の現場でも出会う 褥瘡(床ずれ)とは

褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。一般的に「床ずれ」ともいわれています。

(「日本褥瘡学会HP」より引用:http://www.jspu.org/jpn/patient/about.html

 

褥瘡は、一般的に深さにより重症度がわけられます。(NPUAP/EPUAPによる褥瘡の分類)

Ⅰ:局所の圧迫を取除いても消退しない発赤、紅斑

Ⅱ:真皮にまでとどまる皮膚傷害、すなわち水疱やびらん、浅い潰瘍

Ⅲ:傷害が真皮を越え、皮下脂肪層にまで及ぶ褥瘡

Ⅳ:傷害が筋肉や腱、関節包にまで及ぶ褥瘡

 

ただ、これだけでは不十分なことがあり、

2002年、日本褥瘡学会が「DESIGN®」というアセスメントツールを開発しました。

Depth(深さ)、Exudate(滲出液)、Size(大きさ)、Inflammation/Infection(炎症/感染)、Granulation(肉芽組織)、Necrotic tissue(壊死組織)の頭文字を組み合わせたものです。

参考:DESIGN®褥瘡評価ツール

http://www.jspu.org/jpn/info/design.html

 

褥瘡ができてしまったら その治療法

褥瘡の治療には

①塗り薬(例:アズノール・ゲーベンクリーム)

②ドレッシング(シート状の保護剤)

③外科的治療

があります。

これに、ポジショニングによる除圧患部の洗浄などによる管理を合わせて行いながら、

治療を進めていきます。

 

なぜ褥瘡ができるの?

褥瘡は、主に特定の部位に長時間「圧迫」が加わることで起こります。

ここに「摩擦」などの刺激が加わるとさらにリスクを増加させます。

 

褥瘡を発生させる要因としては、個体要因と環境・ケア要因にわけられます。

個体要因:基本的日常生活自立度、病的骨突出、関節拘縮、栄養状態、浮腫、多汗、尿・便失禁

環境・ケア要因:体位変換、体圧分散用具、頭側挙上、座位保持、スキンケア、栄養補給、リハビリテーション、介護力

 

寝たきりで体位変換が自分でできない方、

栄養状態が悪い方、

皮膚状態が悪い方(湿潤がある等)

むくみが強い方、

などがあげられます。

病気や薬の影響で皮膚が弱くなっている方も注意が必要です。

 

褥瘡になりやすい疾患として、

  • うっ血性心不全
  • 骨盤骨折
  • 脊髄損傷
  • 糖尿病
  • 脳血管疾患
  • 慢性閉塞性肺疾患

があります。

内科系の疾患の場合、栄養状態が悪くて治癒能力が低下していたり、

やせてしまって骨の突出部が多くなっている方が多いからだと考えられます。

 

在宅生活では、

体位変換の管理が難しく、長時間同じ体勢で過ごしてしまう、

また清潔の保持(体を洗う・拭くなど)ができていない、

などの課題があります。

 

これらを放っておけば、褥瘡ができてしまう確率は高いでしょう。

訪問看護などで適切にチェック・ケアをしてもらうことも大切です

 

褥瘡ができやすい部位

骨が飛び出していて振れやすい部分に、褥瘡ができやすいと言われています。

もちろんこれらの部位だけでなく、状態によっては思わぬ部分が圧迫されており、

褥瘡ができてしまうこともあります。

(日本褥瘡学会HPより引用)

 

褥瘡対策には体位変換とポジショニング、そして介助方法

さきほども褥瘡は「圧迫」と「摩擦」が原因だとお伝えしました。

 

その対策のためには

  • 体位変換
  • ポジショニング・シーティング
  • 正しい介助方法

が必要になります。

 

体位交換は「2時間ごと」って本当?

よく「体位変換は2時間ごと」と耳にすることが多いのではないかと思います。

褥瘡のガイドラインでは、「基本的に2時間以内の間隔で、体位変換を行うよう勧められる」が「推奨度B」とされています。

 

ただ、これはあくまで目安で、適切なマットレスなどを使用して対策ができていれば、

3~4時間間隔でも可能な場合もあります。

ただ、ご家族が安易に判断するのはお勧めできません。

ただしい寝具やマットレスの選定や、ご本人の褥瘡発生リスクが高いかどうかなど、

専門家に評価してもらった上で、介護負担も考えながら検討していきましょう。

 

体圧分散マットレスや、自動体位変換機能の付いたマットレスもあります。

 

しかし、どんなにいい福祉用具を使っていても、

介助の時に「摩擦」を加えてしまっては元も子もありません。

まちがったポジショニングで余計に圧迫を助長してしまうこともあります。

介助者が、正しい介助の方法を、

看護師や理学療法士・作業療法士とともに身につけて行くことが大切です。

 

他にも

  • 尿・便・汗などで湿った皮膚をそのままにせず,清潔に保つ
  • シーツ・着衣のよれを取り,皮膚への摩擦やズレを防ぐ
  • よい栄養状態を保つ
  • 口の中を清潔にする

も褥瘡対策としては重要です。

 

ポジショニングにはクッション選びが重要

ポジショニングは、マットレスだけでは防ぎきれない局所の圧迫を取り除き、

体をリラックスできるように整えるためのものです。

 

ポジショニングをする場合、

  • 物品の数は少なく
  • ずれないように

の2点がポイントになります。

 

ちなみに、完全に寝たきりで体が動かせない方を除いて、

ポジショニングをする上で気をつけなければならないことがあります。

それは「寝返りを妨げない」ことです。

寝返りができないということは、大きな不快感を生みます。

自分でクッションを外してしまったりすることもあるので、

ある程度自由度を保つことも大切です。

 

ポジショニングに用いるクッションには様々なものがあります。

大きさや形も様々です。

これにはこれ、といった決まりもなく、その方の姿勢や褥瘡部位に合わせて決められます。

在宅では、基本的にはご自宅にあるクッションを用います。

 

クッションがなければ○○で代用

ただ、ご自宅にポジショニング用のクッションなど置いてあることは珍しいです。

どうしても必要な場合は購入やレンタルを勧めますが、

できるだけあるものを活用することが基本です。

 

ご家族が手作りでクッションを作られることもあります。

 

そのようなことができないご家庭もあります。

クッションの数が足らないことも多いです。

そういう場合は、

タオル(主にはバスタオル)

を用いることがあります。

形や厚みも変えやすいため、色々なところにフィットしやすいです。

 

例えば、細く丸めて輪っかにすれば、踵の除圧に使えます。

 

ただし、形を「変えやすい」分、「変わりやすい」「ずれやすい」といったデメリットがあります。

ずれないように端を紐で縛って使うこともあります。

 

やはり基本となる部分はクッションを用い、

補助的な役割でタオルを使えるのが一番いいでしょう。

 

褥瘡は、そこから感染を起こせば命の危険にもつながる危ない状態です。

まずは予防を適切に行い、

もしできてしまったとしたら、専門家の元、早く治せるよう治療していきましょう。

 

エポック訪問看護ステーション伊丹は床ずれを改善・予防したい方を多方面からサポートします

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